デジタル化が進むビジネス環境において、効率的かつ安全なコミュニケーションは企業の生産性と競争力向上の鍵となっています。データセキュリティとプライバシーの強化を重視する企業では、オンプレミス型Web会議システムが重要な役割を果たしています。
オンプレミス型システムの主な利点は、自社データセンターでの運用により、情報漏洩のリスクを抑え、厳格な規制基準や特有のセキュリティ要件に適応することが可能となります。また、カスタマイズとコスト効率の面でも優れたメリットを提供します。
本ガイドでは、オンプレミス型Web会議の選定、導入、運用に至るまでのプロセスを詳細に解説し、導入を考える際に不可欠な洞察と実践的なアドバイスを提供します。
オンプレミス(オンプレ)型Web会議の基本
Web会議とは?
Web会議は、インターネットを通じて異なる場所にいる参加者がリアルタイムでコミュニケーションを取るためのシステムです。このシステムは、ビデオと音声の伝送を可能にし、参加者が画面上で互いの顔を見ながら会話ができるようにします。Web会議の利用により、地理的な距離や移動の必要性を排除し、効率的かつ経済的な方法でコミュニケーションが行えるようになります。
Web会議の主な特徴は、利便性とアクセシビリティです。特別な機器や高価な設備を必要とせず、インターネット接続があれば、パソコンやスマートフォンから簡単に参加できます。また、ビジネスミーティング、教育セミナー、個人間の通話など、多岐にわたる用途で利用されています。
オンプレミスとクラウドの違い
オンプレミスとは、企業が自社のサーバーやソフトウェアを自身で運用する形態です。この方式では、情報システムは社内ネットワーク内で完結し、外部からのアクセスは制限されています。これにより、企業はシステムに対する完全なコントロールとセキュリティを保持することができます。
対照的に、クラウドサービスは、インターネットを介して必要なITサービスを利用する形態を指します。企業はハードウェアやソフトウェアを所有せず、サービスプロバイダーから提供されるリソースを利用します。この方法は、柔軟性とコスト削減を可能にし、物理的なインフラストラクチャーに対する投資やメンテナンスの負担を軽減します。
オンプレミスはセキュリティとカスタマイズ性に優れている一方で、クラウドはスケーラビリティと運用の容易さに長けています。これらの違いを理解し、企業は自身のニーズに応じて最適な選択を行うことが重要です。
オンプレミスのメリット
オンプレミスは自社で構築するため、システムを柔軟にカスタマイズしやすく、自社システムと連携しやすい特長があります。また、自社のネットワーク内でシステムを稼働させるため、セキュリティ上安全性が高いことがメリットです。
最近のWeb会議製品は、クラウドタイプの需要が伸びていますが、第三者非公開な厳秘情報、個人情報までも気軽にクラウドを中継し、社内外で共有してしまう問題が担当者レベルで起きる課題があります。個人情報の漏洩、インサイダー取引に関する問題、コンプライアンス、産業スパイ、想定外のリスクを考慮しWeb会議をオンプレミスで企業内専用環境で運用したいニーズは多いです。
オンプレミスのデメリット
オンプレミスのデメリットは一般的に次のような事が多いです。
- 初期導入時のコストが高い
- IT スキル(インフラ、Web、DBサーバなど) が必要
- 拠点接続やテレワークなどで社外からのアクセスの際は VPN など専用インフラが必要
- 自社で障害に対応する必要がある
昨今では、総務省が働き方改革の一環として、テレワークに適した Web会議を推奨しています。またモバイル端末利用での利便性向上もあり、クラウドでのニーズが高くなっており、テレワーク、モバイル端末に対応したオンプレミス型のWeb会議製品は非常に少なくなっております。
オンプレミス型Web会議のインテグレーション戦略
クラウドコンピューティングが広く普及する現代においても、依然として多くの企業がセキュリティやカスタマイズの柔軟性の観点から、基幹業務システムにおてはオンプレミスで運用している場合があります。特に機密情報の扱いや業界特有の規制が関係する場合、オンプレミスの選択は重要な意味を持ちます。
この状況を踏まえると、オンプレミス型Web会議のインテグレーションは、データの一貫性とセキュリティの観点から非常に効率的です。
高速で安全なデータ連携の実現
オンプレミス型Web会議システムと、既存システム(基幹業務システムなど)間は、イントラネット内の内部ネットワークを利用し高速で安全なAPI連携が実現できます。例えば、後述する Active Directory 連携によるユーザ情報の同期や認証処理などが該当します。
これは、情報の迅速な共有を可能にし、リアルタイムでの意思決定をサポートします。また、データの一元管理により情報の整合性を高めることができ、業務プロセスの効率化に大きく貢献します。
セキュリティの強化
オンプレミスでのデータ管理は、外部の脅威から企業の貴重な情報を守る上で重要な役割を果たします。インテグレーションにおいても、データの安全性は最優先事項となります。特にWeb会議の動画保存では、クラウドを選択した場合、クラウドサービス提供者側のサーバへ動画ファイルが保存されてしまう場合がある点に注意が必要です。
オンプレミスでの運用はファイアウォール、暗号化技術、アクセス権限の厳格な管理などを通じて、セキュリティを強化し、データ漏洩や不正アクセスから保護します。
柔軟なカスタマイズの可能性
オンプレミス型Web会議は、クラウドベースのソリューションよりも高度なカスタマイズが可能です。企業は自社の特定ニーズに合わせたカスタマイズを行い、効率的な業務フローを構築できます。これは、従業員の生産性向上に直接寄与し、組織全体のパフォーマンスを高める結果を生み出します。
このように、オンプレミス型Web会議のインテグレーションは、データの一貫性、セキュリティの強化、柔軟なカスタマイズの可能性を通じて、企業のデジタルトランスフォーメーションを推進し、競争力を高める重要な要素です。効率的でセキュアなコミュニケーションツールの実現により、企業はよりスムーズかつ効果的な業務運営を実現できるでしょう。
【比較表】主要なWeb会議製品と、オンプレミス対応状況
次の比較表は、主要Web会議製品のオンプレミス(閉域網)対応の有無、価格面で順番に並べています。
製品名 | オンプレミス 対応 | オンプレミス版の 年間価格(目安) |
---|---|---|
Chat&Messenger | ◯ | 初期費用: 2万円 20ユーザー:72,000円~ |
FreshVoice | ◯ | 初期費用:330,000円~ 同時接続数10台:1,056,000円~ |
LiveOn | ◯ | サーバーソフト:1,100,000円 クライアントソフトライセンス: 78,000円(税別)/ 1ライセンス 年間:サーバーソフト+ライセンス合計の20% |
V-CUBE | ◯ | 要問合せ |
LoopGate | ◯ | 要問合せ |
Chatwork | ✖ | – |
Zoom | ✖ | – |
Google Meet | ✖ | – |
Microsoft Teams | ✖ | – |
Skype | ✖ | – |
オンプレミス型Web会議製品の選び方
特にオンプレミス型のWeb会議システムを選ぶ際には、以下の点を検討することが重要です。
1. システム選定のための評価基準
オンプレミス型Web会議製品を選ぶ際には、その機能性、スマフォ対応の有無、パフォーマンス、セキュリティ、コスト、サポート体制、ユーザーインターフェースの使いやすさなどを総合的に評価します。
特に機能面(会議録画、スクリーン共有、チャット、議事録作成、画面ペイント機能等)で必要な機能が備っているかの確認も重要です。
2. アクセス制御と監査ログ
セキュリティの観点から、ユーザーのアクセス制御機能と監査ログの記録が可能かを確認します。監査ログによりシステムへのアクセス履歴や操作記録を追跡でき、不審な動きやセキュリティ違反があった場合に早急に対処することができます。これにより、セキュリティリスクを軽減できますので、Web会議製品にこれらの機能が搭載されているか確認してください。
3. Active Directory 連携
Active Directoryとの連携により、OSのパスワード認証やシングルサインオン(SSO)が可能かどうかを確認します。これにより、ユーザー管理が容易になり、セキュリティを強化しつつ利便性を高めることができます。検討中のWeb会議製品でどのレベルでActive Directory 連携が可能か事前に調査してください。
Chat&Messenger が実現しているActive Directory連携は以下が参考です。
4. データバックアップ方式
システムの安定性を保つためには、定期的なデータバックアップ機能が整っていることが不可欠です。災害やシステム障害の際にも迅速にデータを復旧できるよう、適切なバックアップ戦略がWeb会議製品に組み込まれているか確認してください。
5. 冗長化・負荷分散対応
システムの信頼性を高めるためには、サーバーの冗長化構成が可能かどうかを検討します。これにより、一部のサーバーに障害が発生しても、他のサーバーが代替として機能し、サービスの中断を防げます。数千ユーザー規模になると冗長化構成が必要になるため、検討中のWeb会議製品が対応可能か確認してください。
Chat&Messenger が冗長化・負荷分散対応は次のイメージです。
6. カスタマイズと拡張機能
企業特有のニーズに合わせて、システムのカスタマイズや拡張が可能かどうかも重要な要素です。将来的なビジネスの成長や変化に柔軟に対応できるシステムを選ぶことが望ましいです。
オンプレミス型Web会議製品を選定する際には、これらの要素を総合的に検討し、企業の現在および将来のニーズに最も適合する製品を選ぶことが重要です。適切なシステム選択により、ビジネスの効率化とセキュリティの強化を図ることができます。
オンプレミスWeb会議でお勧め製品紹介
Chat&Messenger は、ビジネスチャット 、Web会議、ファイル共有、スケジュール、会議室予約など周辺ツールを使いやすく統合したグループウェアで、オンプレミス・クラウド両対応です。
全てのデータを組織内で管理できるため、政府関連、大手企業、銀行、IT、大学、病院、県庁、市役所、公共機関など、インターネット接続規制のある環境(閉域網)や機密性が高いデータ(クラウド上へ保管できない)を扱う組織で多数導入実績があります。
また、Chat&Messenger はオンプレミスであっても、簡単なインストールで、5000 ユーザ以上は処理出来るよう最適化されており、IT スキルも不要です。価格面でも他社クラウドより圧倒的に割安になっており、オンプレミスの一般的なデメリットは該当しません。
Chat&Messenger のオンプレミス版は有料プランとなりますが、他社と比較して高機能かつ圧倒的に低価格でご提供致します。